ヨガは「ポーズ」「呼吸」「瞑想」の3つから成り立っているとされています。なぜ呼吸がそれほど重要なのか?普段の呼吸との違いは?プラーナヤーマって何?といったヨガの呼吸の基本について解説します。
ヨガで呼吸が大切にされるのはなぜ?
呼吸で意識を集中する
一般的にはヨガは、ゆっくりとポーズを行うスポーツのような位置付けにありますが、本来のヨガはポーズが主体ではありません。
ポーズで身体や筋肉を緩めてリラックスし、呼吸で集中力を高め、その後に行う瞑想をより深いものへすることがヨガの本来の役割です。
そのため、ヨガにおける呼吸で大切なのは、吐く息と吸う息に意識を集中すること。
また、呼吸の間に息を止める「プラーナヤーマ」と呼ばれる調気法も、ヨガの呼吸の特徴でしょう。
ヨガの呼吸は普段の呼吸とは違うの?
ヨガの呼吸のポイント3つ
ヨガの呼吸には大きく3つの特徴があります。
1.腹式呼吸
2.吸う息よりも吐く息を長くする
3.吸う息と吐く息の間で息を止める
それぞれを詳しく解説していきましょう。
ヨガは腹式呼吸
胸式呼吸と腹式呼吸という単語を聞いたことがあるかもしれません。
歌を大きな声で歌うときは腹式呼吸で、とよく指導されますね。
私たちが日常的に行なっている呼吸は胸式呼吸といって、首や肩の筋肉を使って肺の上の方に空気を送り込む呼吸法です。
一方、ヨガで行われる呼吸のほとんどは腹式呼吸です。
腹式呼吸は実際にお腹に空気が入るわけではありませんが、お腹を膨らませることによって横隔膜が押し下げられ、肺の下の方に空気を送り込む呼吸法です。
胸式呼吸よりも呼吸量が多くなり、深い呼吸ができるようになります。
吸う息よりも吐く息を長くする
ヨガでは、長く吐く息が大切されています。
なぜなら、呼吸によるリラックス効果を得るため。
人は、息を吸うと交感神経が優位になり、全身が緊張します。
一方、息を吐くと、副交感神経が優位になり、全身の筋肉が緩みます。
交感神経は、緊急時やストレス時に働く神経。筋肉もかたくなり、呼吸も浅くなります。副交感神経は、睡眠時やリラックスしている時に働く神経です。ヨガでは吐く息を長くすることで、筋肉の緊張を緩め、リラックスすることで、次の瞑想の段階へと繋げていきます。
可能であれば、一度の呼吸で吐く息は最低でも15秒。できれば30秒を目指してみてください。
ちなみに、ヨガの伸ばしのポーズの時に息を吐くのもそのため。息を吐くだけで筋肉が緩み、手が届かなかった足に手が届くようになるのでぜひ試してくださいね。
調気法(プラーナヤーマ)って何?
呼吸で身体と宇宙を一体化させる
ヨガの呼吸法は「プラーナヤーマ」と呼ばれます。
プラーナとは、日本で言う所の「気」のようなもの。身体のすみずみや、空気中、宇宙にもその生命エネルギーが満ち溢れています。
ヨガの古典書『ヨーガスートラ』では、「調気とは、吸う息と吐く息の流れを断ち切ることである」と書かれています。ヨガの呼吸は、息を吸い、一度息を止め、息を吐くという行為を何度か繰り返すもの。
プラーナヤーマは、吸う息と吐く息(呼気)の間の息を止めている時間に、身体の全身に生命エネルギー(プラーナ)が巡るとされており、全身のプラーナの流れが整うことで、心と身体が整うという考え方がされています。
また、宇宙に満ちているエネルギーも、同じプラーナ。ヨガの呼吸では、そのプラーナで全身を満たすイメージをして、宇宙と大きな一体感を感じることも調気法では大切なこととされています。